はじめに
前回のコラム(「通勤手当に月5,000円プラスできる? 令和8年4月から変わった非課税ルール」)では、自転車・バイクの駐輪場代が通勤手当の非課税限度額に加算されるようになったことをご紹介しました。同じ令和8年4月、自転車に関してもうひとつ大きな変化がありました。
自転車にも「青切符制度」が導入され、一定の交通違反に反則金が課されるようになったのです。従業員が業務中や通勤中に反則金を受けた場合、会社はどう対応すればよいのか。税務上の取扱いと合わせて整理します。
自転車の青切符制度とは
道路交通法の改正により、令和8年4月1日から16歳以上の自転車利用者を対象に、交通反則通告制度(青切符制度)が導入されました。これまで自動車・バイクに適用されていた制度が自転車にも広がったもので、違反内容に応じて反則金が課されます。
主な反則行為と反則金は以下のとおりです。
| 違反行為 | 反則金 |
|---|---|
| ながらスマホ(通話・画面注視) | 12,000円 |
| 信号無視・歩道通行違反 | 6,000円 |
| 傘差し運転・イヤホン・無灯火 | 5,000円 |
反則金を期限内に納付すれば刑事手続きには移行せず、前科もつきません。一方、飲酒運転や妨害運転など悪質な違反はこれまでどおり赤切符(刑事罰)の対象となります。
反則金を会社が負担したら経費になる?
ここが経営者・給与担当者にとって一番気になる点です。結論から言えば、会社が従業員の反則金を負担しても、経費(損金)にはなりません。
法人税法上、罰金・科料・過料および通告処分による反則金は損金に算入できないと定められています(法人税法第55条第5項第1号)。業務遂行中の従業員に課された反則金を会社が負担した場合も、会社自身に課された罰金と同様の扱いとなり、損金不算入です(法人税基本通達9-5-12)。
一方、業務と無関係な反則金を会社が負担した場合は、その従業員への給与として所得税の対象になります。個人事業主が自分で反則金を支払った場合も、業務中の違反であっても必要経費には算入できません(所得税法第45条第1項第6号)。
| ケース | 税務上の取扱い |
|---|---|
| 業務中の反則金を会社が負担 | 損金不算入 |
| 業務外の反則金を会社が負担 | 従業員への給与(所得税の対象) |
| 個人事業主が自分で支払う | 必要経費不算入 |
社内ルールを整備しておこう
反則金の負担ルールを曖昧にしておくと、税務上の処理が複雑になるほか、従業員とのトラブルの原因にもなりかねません。自転車通勤や業務での自転車使用を認めている会社は、この機会に社内のルールを整備しておきましょう。就業規則や社内規程の具体的な整備については、社会保険労務士にご相談ください。
まとめ
自転車の青切符制度と税務上の取扱い
・令和8年4月から自転車にも青切符制度が導入。違反行為に応じて反則金が課される
・業務中の反則金を会社が負担しても損金不算入
・業務外の反則金を会社が負担した場合は従業員への給与課税
・個人事業主が支払う反則金も必要経費不算入
・反則金の負担ルールは社内で明確にしておくことが重要
※本コラムは令和8年6月2日現在の法令等に基づいて作成しています。今後の法令改正等により内容が変わる場合があります。
