はじめに
ふるさと納税のルールが、2026年10月から変わります。
寄付をする側の手続きや控除額は変わりません。変わるのは、自治体が返礼品を用意するときのルールです。ただ、この変更によって返礼品の内容が見直される可能性があります。
「そろそろ今年のふるさと納税を」と考えている方は、9月のうちに確認しておいたほうがよさそうです。
控除の仕組みは変わりません
まず、安心していただきたい点からお伝えします。
・寄付の上限額は変わりません
・実質自己負担2,000円という仕組みも変わりません
・ワンストップ特例も確定申告の手続きも変わりません
9月に寄付しても10月に寄付しても、控除される金額は同じです。「10月になると損をする」という話ではありません。
ただ、自治体側のルール変更によって、もらえる返礼品の内容が見直される可能性があります。
変更点① 自治体が使えるお金の枠が縮まります
現在、自治体は集めた寄付金のうち5割までを、寄付を集めるための費用に使うことができます。この費用を「募集費用」といいます。
募集費用には、次のようなものが含まれます。
・返礼品の調達費用(寄付額の3割以下)
・返礼品の送料
・決済手数料
・ポータルサイトへの手数料
・寄付金受領証の発行など事務にかかる費用
返礼品そのものの費用も、この枠の中に入っているという点が重要です。
この5割という枠が、2026年10月から段階的に縮められます。
| 時期 | 募集費用の上限 | 自治体に残る割合 |
|---|---|---|
| 現在 | 5割 | 5割以上 |
| 令和8年(2026年10月〜) | 47.5% | 52.5%以上 |
| 令和9年 | 45% | 55%以上 |
| 令和10年 | 42.5% | 57.5%以上 |
| 令和11年 | 40% | 60%以上 |
2026年10月の時点では、募集費用の枠が2.5ポイント圧縮されます。
枠が縮まると、返礼品にしわ寄せがきます
ここが寄付する側にとって気になる点です。
返礼品の調達費用は寄付額の3割以下、というルール自体は変わりません。ただ、募集費用全体の枠が縮まるため、送料や手数料に使える部分が狭くなります。
【現在】募集費用の上限 5割
【令和8年10月〜】募集費用の上限 47.5%
※返礼品3割を確保した場合のイメージです。
問題は、送料が上がっていることです。物価高や運送コストの上昇で、送料や決済手数料は増える傾向にあります。使える枠は縮むのに、必要な費用は増えていく。この状況で3割の返礼品を維持しようとすると、17.5%に収まらない自治体が出てきます。
そうなると、返礼品の内容量を減らすか、同じ内容なら寄付額を上げるか、という判断になります。1万円の寄付でもらえるものが、少しずつ小さくなっていく可能性があるということです。
もちろん、すべての自治体がそうなるわけではありません。事務費を見直したり、ポータルサイトの手数料を交渉したりして対応する自治体もあるでしょう。ただ、枠が狭くなる以上、これまでと同じ内容を維持するのが難しい返礼品は出てくると考えられます。
変更点② 返礼品の基準が厳しくなります
もう一つの変更点は、返礼品として認められる基準です。
現在、区域内で製造・加工された製品は、価値の過半がその地域で生じていることを条件に、地場産品として認められています。この「過半」の計算方法が明確化されます。
これまでは自治体ごとに算出方法がばらばらで、同じ製品を複数の自治体が自らの地場産品と主張できてしまうケースがありました。総務省の資料では、海外から輸入したワインを倉庫で保管しただけで、その保管によって価値の過半が生じたとして返礼品にしていた例が挙げられています。
今後は価格に基づく算出を原則とし、製造者が証明書を出し、自治体がその内容を公表することになります。
この結果、これまで返礼品として提供されていたものが、基準を満たせず姿を消す可能性があります。海外産の原材料を使ったものや、地域での加工度が低いものが影響を受けやすいと考えられます。
欲しい返礼品があるなら、9月のうちに
繰り返しになりますが、控除の仕組みは変わりません。慌てて上限額いっぱいまで寄付する必要はありませんし、上限を超えて寄付すれば超過分は全額自己負担になります。
ただ、次のような方は9月中に確認しておくことをお勧めします。
毎年決まった返礼品を選んでいる方
その返礼品が10月以降も同じ内容で提供されるとは限りません。
気になっている返礼品がすでにある方
基準の見直しで掲載が終了する可能性があります。
ポータルサイトによっては、制度変更の影響を受ける可能性がある返礼品について案内を出しています。お気に入りに入れている品や、過去に寄付した品を一度確認してみるとよいでしょう。
まとめ
・2026年10月からふるさと納税のルールが変わるが、控除の仕組みや上限額は変わらない
・自治体が使える募集費用の枠が5割から47.5%に縮まる(令和11年に40%まで段階的に)
・募集費用には返礼品の調達費用や送料が含まれるため、返礼品の内容が見直される可能性がある
・地場産品の基準が明確化され、基準を満たさない返礼品は姿を消す可能性がある
・欲しい返礼品が決まっているなら、9月のうちに確認を
※本コラムは令和8年9月16日現在の情報に基づいて作成しています。今後の制度変更等により内容が変わる場合があります。
