はじめに
会社から、役員や従業員の急な出費に対応して貸し付けるケースがあります。
このとき、会社は一定の利息を受け取る必要があります。無利息だったり利率が低すぎたりすると、本来受け取るべき利息との差額が給与として課税されるためです。
その基準となる利率が、令和8年に貸し付けた分から年1.3%になりました。令和7年までは0.9%でしたので、今年新たに貸し付ける場合は注意が必要です。
なぜ利息を受け取る必要があるのか
会社が役員や従業員に無利息でお金を貸すと、借りた側は本来支払うべき利息を払わずに済みます。これは経済的な利益を受けたことになるため、その分が給与として扱われます。
給与として課税されると、借りた本人に所得税・住民税がかかり、会社側でも源泉徴収が必要になります。「貸しただけ」のつもりが、思わぬ税負担につながることがあります。
利率は貸し付けた年に応じて定められています
利息相当額の計算に使う利率は、貸付けを行った年に応じて次のとおり定められています(国税庁タックスアンサーNo.2606)。
| 貸付けを行った年 | 利率 |
|---|---|
| 令和3年 | 1.0% |
| 令和4年〜令和7年 | 0.9% |
| 令和8年 | 1.3% |
令和4年から令和7年までは0.9%で据え置かれていましたが、令和8年は1.3%に上がりました。
この利率は、財務大臣が告示する平均貸付割合に年0.5%を加えたもので、毎年見直されます。令和8年の平均貸付割合が0.8%と告示されたため、0.8%+0.5%=1.3%となりました。日銀の利上げが反映された形です。
令和8年に貸し付けると、どれだけ変わるか
仮の数字で見てみます。令和8年に役員へ300万円を貸し付けた場合、年間の利息相当額は次のようになります。
・令和7年の利率(0.9%)で計算:27,000円
・令和8年の利率(1.3%)で計算:39,000円
もし令和7年までと同じ感覚で0.9%として計算してしまうと、12,000円の差額が生じます。この差額が、役員への給与として課税されることになります。
課税されなくてよい場合もあります
無利息や低い利率で貸し付けた場合でも、次のいずれかに該当すれば給与として課税しなくてよいとされています。
①災害や病気などによる臨時の生活資金
災害や病気などで臨時に多額の生活資金が必要になった役員・従業員に対し、合理的と認められる金額や返済期間で貸し付ける場合です。
②合理的な貸付利率を定めている場合
会社の借入金の平均調達金利など、合理的と認められる貸付利率を定め、その利率で貸し付ける場合です。必ず1.3%以上でなければならない、というわけではありません。
③差額が年間5,000円以下の場合
定められた利率で計算した利息と、実際に受け取る利息との差額が、1年間で5,000円以下である場合です。
確認しておきたいこと
今年新たに役員や従業員へ貸付けを行う場合は、1.3%を基準に利息を設定しているか確認しておきましょう。前年までの感覚で0.9%としていると、差額が給与として扱われる可能性があります。
すでに計上されている役員貸付金についても、利息の計算方法が適切かどうか、この機会にあわせて確認しておくと安心です。
まとめ
・会社が役員・従業員に無利息や低い利率でお金を貸すと、差額が給与として課税される
・利息相当額の計算に使う利率は、貸付けを行った年に応じて定められている
・令和8年に貸し付けた分は1.3%(令和4年〜令和7年は0.9%)
・令和8年に300万円を貸し付けた場合、年間の利息相当額は39,000円
・災害・病気による臨時の生活資金、合理的な貸付利率を定めている場合、差額が年5,000円以下の場合は課税されない
※本コラムは令和8年9月2日現在の法令等に基づいて作成しています。今後の法令改正等により内容が変わる場合があります。
