はじめに
夏が終わると、秋の社員旅行を計画される会社も多いのではないでしょうか。
会社が旅行費用を負担しても、一定の条件を満たせば社員の給与として課税されません。その目安の1つが、参加率50%以上です。ただ、家庭の事情や業務の都合で、どうしても集まらないこともあります。
参加率が50%に届かなかったら、費用は給与として課税されてしまうのか。今回はこの点を整理します。
まず、基本のルール
会社が社員旅行の費用を負担すると、参加した社員は経済的な利益を受けます。本来これは給与にあたるのですが、少額なものまで課税するのは適当でないという考え方から、一定の条件を満たせば課税しなくてよいとされています。
国税庁のタックスアンサーNo.2603では、次の2つを満たせば原則として課税しなくてよいとされています。
・旅行の期間が4泊5日以内であること
・参加した人数が全体の50%以上であること
ただし、これはあくまで目安です。判定は旅行の目的、規模、行程、費用の負担割合などを総合的に勘案して行うとされています。
50%に届かなくても、大丈夫なことがあります
参加率が50%を下回ったら即アウトかというと、そうでもありません。
国税庁は令和4年12月に、参加率が38%でも課税しなくて差し支えないとするQ&Aを公表しています。
【国税庁が示した事例】
・旅行の目的:社内の親睦と社員の勤労意欲の向上
・旅行期間:3泊4日
・費用:15万円(うち会社負担7万円、社員負担8万円)
・参加率:38%
このケースでは、福利厚生規程に基づいて全社員に参加を募った結果、それぞれの都合で38%になったという経緯がありました。国税庁は、社会通念上一般に行われているレクリエーション旅行と認められるとして、課税しなくて差し支えないとしています。
全員に声をかけたうえで結果的に届かなかったのであれば、参加率だけを理由に課税されるわけではない、ということです。
プランが分かれても、合算して数えられます
最近は、行き先や日程を1つに絞らず、いくつかのプランを用意して社員に選んでもらう会社も増えているようです。この場合、参加率はプランごとに数えるのでしょうか。
たとえば大阪の会社が、有馬温泉への1泊2日プランと、京都散策の日帰りプランの2つを用意したとします。温泉プランの参加率が35%、京都プランが25%だった場合、それぞれ単独では50%に届きません。
しかし、企画全体が1つのレクリエーション旅行と評価できるのであれば、合わせて60%として判定できると考えられています。仕事を止めないために日程を2班に分けて実施する場合と、考え方は同じです。
大事なのは、社員全員に等しく参加の機会があるかです。会社が用意したプランから選ぶ形であれば、社員が各自バラバラに旅行先を決めるのとは性質が違う、ということですね。
ただし、現金との選択制はNGです
1つだけ、絶対に避けたい落とし穴があります。
「旅行に参加しない人には現金を支給する」という形にすると、不参加者だけでなく参加した社員も含めた全員について、その現金相当額の給与があったものとされます。
複数プランを用意するときも、「どのプランも選ばない場合は現金支給」という選択肢は設けないでください。せっかくの福利厚生が、全員分の給与課税につながってしまいます。
計画の段階でこの点を押さえておけば、後から慌てることもありません。
まとめ
・社員旅行の給与課税を避ける目安は、4泊5日以内・参加率50%以上
・ただし判定は総合勘案であり、参加率だけで決まるものではない
・参加率38%でも課税されなかった事例がある(全員に参加機会を与えた場合)
・複数プランでも、企画全体が1つの旅行といえるなら合算して参加率を判定できる
・現金との選択制にすると、参加者を含む全員が課税される
※本コラムは令和8年8月12日現在の法令等に基づいて作成しています。今後の法令改正等により内容が変わる場合があります。
