コラム
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2026.07.21

節税の定番「4年落ち中古車」、個人事業主には半分しか効きません

はじめに

「節税のために4年落ちの中古車を買う」という話を、経営者の間で耳にしたことがある方は多いと思います。実際、条件を満たせば大きな節税効果が期待できるのは事実です。

ただし、この効果は法人か個人事業主かで大きく変わります。同じ400万円の中古車を買っても、片方は初年度にほぼ全額を経費にできる一方、もう片方は半分しか経費にできません。今回はその理由と、実行する前に知っておきたい注意点を整理します。

なぜ「4年落ち」なのか

新車の普通自動車の法定耐用年数は6年です。中古資産を取得した場合は、経過年数に応じて耐用年数を見積もる「簡便法」という計算方法が使えます(国税庁タックスアンサーNo.5404)。

中古資産の耐用年数(簡便法)=(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20%

4年落ちの普通自動車であれば、(6年-4年)+4年×20%=2.8年となり、1年未満を切り捨てて2年になります。この2年という短さが、後で効いてきます。

法人と個人事業主、償却方法の違いがすべてを左右する

減価償却には「定率法」と「定額法」があり、届出をしなければ自動的に適用される方法が、法人と個人事業主で異なります。法人は定率法、個人事業主は定額法が原則です。

耐用年数2年の場合、定率法の償却率は1.000、定額法の償却率は0.500です。この0.5の差が、そのまま初年度の経費額の差になります。

計算例:期首に400万円(税抜)の4年落ち中古車を購入した場合

法人(定率法・償却率1.000):400万円×1.000=400万円(ほぼ全額を初年度に経費化)

個人事業主(定額法・償却率0.500):400万円×0.500=200万円(半分のみ)

「4年落ち中古車で節税」という話は、実は法人を前提にした話であり、個人事業主がそのまま実行しても期待通りの効果は得られないのです。

個人事業主が定率法を使いたい場合は、「所得税の減価償却資産の償却方法の届出書」をその年の3月15日まで(開業した年は確定申告期限まで)に提出しておく必要があります。届出がなければ、自動的に定額法になります。なお、事業とプライベートの両方で車を使っている場合は、事業で使用している割合に応じた家事按分が必要になる点も忘れないでください。

「この車だけ定率法」はできない

ここで1つ、誤解しやすい点があります。減価償却の方法は、車1台ごとに選べるものではなく、「車両運搬具」という資産の種類ごとに選定するものです(国税庁タックスアンサーNo.2100)。すでに車両運搬具で定額法を選んでいる個人事業主が、今回の中古車だけ定率法にする、ということはできません。

期首に買わなければ、効果は半分以下になる

もう一つ見落としがちなのが、購入するタイミングです。減価償却費は、年の中途で取得すると月割り計算になります(国税庁タックスアンサーNo.2106)。先ほどの「法人が初年度にほぼ全額償却できる」という計算も、期首に取得した場合の話です。

例えば事業年度の半分が過ぎたタイミングで購入すれば、その年に計上できる償却費もおおよそ半分に減ります。「4年落ち中古車の節税」を最大限に活かすには、車種選びや資金繰りだけでなく、いつ取得するかというタイミングまで含めて計画する必要があります。

早く経費化することが、必ずしも得とは限らない

ここまでは「どうすれば早く・多く経費にできるか」という話でしたが、実は早く経費にすることが必ずしも得とは限りません。

減価償却を早めるということは、その年の利益を圧縮するということです。もしその後も赤字が続いた場合、赤字を繰り越せる期間には限りがあります。個人事業主(青色申告)の繰越期間は3年間、法人(青色申告)は10年間です。

個人事業主が定率法を選んで初年度に大きく償却しても、その後3年以内に黒字化して相殺できなければ、繰り越しきれなかった赤字は切り捨てられてしまいます。法人であれば10年の猶予があるため、多少業績が上向くまで時間がかかっても挽回しやすいですが、個人事業主はその猶予が短い分、慎重な判断が必要です。「早く経費にできるから」という理由だけで購入時期や償却方法を決めるのではなく、その後数年の利益の見通しもあわせて考えることをお勧めします。

まとめ

・4年落ちの普通自動車は、簡便法により耐用年数が2年になる

・法人(定率法・償却率1.000)は初年度にほぼ全額を償却できるが、個人事業主(定額法・償却率0.500)は半分しか償却できない

・個人事業主が定率法を使うには、事前の届出が必要

・減価償却の方法は資産の種類ごとに選ぶもので、1台だけ変更することはできない

・年の中途で取得すると月割り計算になるため、節税効果を活かすには期首に近いタイミングでの取得が有利

・個人事業主は赤字の繰越期間が3年間と短いため、早期償却が裏目に出ることもある(法人は10年間)

※本コラムは令和8年7月21日現在の法令等(国税庁タックスアンサーNo.5404・No.2100・No.2106)に基づいて作成しています。今後の法令改正等により内容が変わる場合があります。

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