コラム
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2026.01.08

令和8年税制改正大綱(資産税・法人税編)

今回の改正は、物価高騰への対応や「年収の壁」の引き上げといった個人所得税の注目度が高い一方で、資産税(相続・贈与)および法人税の分野でも、実務に直結する非常に重要な見直しが盛り込まれています。

本稿では、税理士事務所の視点から、経営者や資産家の皆様が特に押さえておくべきポイントを整理・解説します。

1. 資産税:公平性の追求

今回の資産税改正のキーワードは、「過度な節税への牽制」です。

不動産小口化商品評価適正化

かねてより議論されていた、「不動産小口化商品」についてはその取得の時期にかかわらず、課税時期における通常の取引価額に相当する金額によって評価されます。(令和9年1月1日以降に相続又は贈与により取得する財産の評価に適用されます)

②貸付用不動産の評価

被相続人または贈与者が相続開始前又は贈与前5年以内に取得した一定の貸付用不動産については課税時期における取得価額に相当する金額によって評価されます。(令和9年1月1日以降に相続又は贈与により取得する財産の評価に適用されます)

改正の方向性:上記①、②ともに市場価格と相続税評価額の乖離の利用によって相続税や贈与税が圧縮されている実態を踏まえて、より実勢価格に近い評価方法へと改正されます。

③ 教育資金の一括贈与特例の終了

直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税特例(1,500万円まで)ですが、今回の改正で令和8年3月末をもって制度終了(廃止)となる方向です。

孫や子へのまとまった資金移動を検討されている場合は、令和7年度中の実行が必須となります。

なお、令和8年3月31日までに拠出された金銭等については引き続き本措置が適用となります。

2. 法人税:設備投資への強力な後押しと金額基準の緩和

法人税制では、物価高を反映した実務的な基準の引き上げと、大胆な投資を促す新制度が目立ちます。

① 中小企業者等の少額減価償却資産の特例:基準額を40万円に引き上げ

中小企業にとって最も身近な優遇措置である「30万円未満の資産の即時償却」が、「40万円未満」に引き上げられました。

適用を受ける事業年度における少額減価償却資産の取得価額の合計額300万円を限度とすることについては変更ありません。

背景: PCや周辺機器、事務機器の価格上昇(インフレ)に対応したものです。

メリット: 従来は資産計上して数年かけて償却していたものが、40万円未満であれば一括で損金算入可能になり、キャッシュフローが改善します。

② 特定生産性向上設備等投資促進税制の創設

「大胆な投資」を促すため、新たな投資減税が創設されます。

内容: 青色申告書を提出する法人が、一定の投資計画に基づき、生産性向上に資する設備を取得した場合、「即時償却(100%償却)」または「税額控除(7%、建物等は4%)」の選択が可能です。

対象設備 大企業(35億円以上)、中小企業(5億円以上)であることなど、比較的大規模な投資が想定されています。

③ 賃上げ促進税制の見直し(大企業廃止・中堅企業縮小)

一方で、これまでの賃上げ支援策は整理されます。

前回所得税の回でもご紹介しましたが以下の通りです。

大企業向け: 令和8年3月末をもって廃止。

中堅企業向け: 要件を厳格化した上で、令和9年3月末をもって廃止される見込みです。

教育訓練費に係る上乗せ措置は廃止されることになります。

3. その他の重要項目:固定資産税と償却資産税

実務上の負担を軽減する措置も含まれています。

固定資産税・償却資産税の免税点引き上げ

市区町村に納める家屋に係る固定資産税の免税点が現行の課税標準額20万円から30万円に引き上げられ、償却資産税の免税点も、現行の課税標準額150万円から180万円に引き上げられます。

これにより、小規模な設備を持つ事業者の納税義務が免除されるケースが増えます。

まとめ:経営者が取るべきアクション

令和8年度改正大綱の主なものについてご紹介しましたが、このほかにも国際課税に関するものなどについても改正が予定されています。

適用時期についても様々となっておりますので、ご自身に関係のある項目については今後の動向を確認し、早めの対策を実施してください。

 

 

 

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