はじめに
2025年も残り2カ月を切り、そろそろ確定申告の準備を始めようと考えておられる方もいらっしゃると思います。
確定申告は、1年間の所得を税務署に申告し、所得税額を確定させる重要な手続きです。
そもそも「自分は確定申告をする必要があるのか」と疑問に思われることもあるでしょう。
本コラムでは、確定申告が必要な方の条件や、申告することで得られるメリットについて詳しく解説いたします。
確定申告が必要な人
給与所得者で確定申告が必要な場合
会社員の方でも、以下の条件に該当する場合は確定申告が必要となります。
給与収入が2,000万円を超える場合
年間の給与収入が2,000万円を超える場合、年末調整の対象外となるため、必ず確定申告をしなければなりません。
副業収入がある場合
– 給与以外の所得が年間20万円を超える場合
– アルバイトやパート、業務委託による収入がある場合
– 不動産収入、株式の売却益、仮想通貨の売却益などがある場合
複数の会社から給与を受けている場合
2か所以上から給与を受けており、年末調整されなかった給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得金額の合計が20万円を超える場合です。
年末調整で処理できない控除がある場合
– 医療費控除を受ける場合
– 寄附金控除(ふるさと納税など)を受ける場合
– 住宅ローン控除の初年度
– 災害減免法による所得税の軽減免除あるいは雑損控除を受ける場合
事業所得者・不動産所得者
個人事業主・フリーランス
事業所得がある方は、所得金額に関係なく確定申告が必要です。
ただし、所得税の基礎控除額95万円以下の場合は、所得税は発生しません。
不動産オーナー
不動産収入がある場合は、金額に関係なく確定申告が必要です。
ただし、不動産所得が20万円以下でも住民税の申告は必要となります。
その他の所得がある場合
年金受給者
– 公的年金等の収入金額が400万円を超える場合
– 公的年金等以外の所得金額が20万円を超える場合
※2025年の所得税について特定親族特控除の適用や新たに扶養控除の適用を受けようとする場合は確定申告をする必要があります。
一時所得・雑所得がある場合
– 生命保険の満期保険金や解約返戻金
– 競馬・競輪・パチンコなどの払戻金
– 仮想通貨の売却益
– FXの売却益
確定申告をした方が良い人(還付申告)
確定申告の義務はないものの、申告することで税金が還付される可能性がある方は以下の通りです。
医療費控除の適用を受ける場合
年間の医療費が10万円を超える場合(所得金額が200万円未満の場合は所得金額の5%)、医療費控除を受けることができます。
– 病院での治療費
– 処方薬代
– 交通費(公共交通機関)
– 介護保険サービスの自己負担額の一部
寄附金控除を受ける場合
– ふるさと納税(ワンストップ特例制度を利用していない場合)
– 認定NPO法人への寄附
– 公益社団法人・公益財団法人への寄附
– 政治活動に関する寄附
住宅ローン控除の初年度
住宅ローンを組んで住宅を購入・新築した場合、初年度は確定申告が必要です。
2年目以降は年末調整で処理できます。
雑損控除を受ける場合
災害や盗難、横領により住宅や家財などに損害を受けた場合に適用されます。
– 自然災害による損害
– 火災による損害
– 盗難・横領による損害
中途退職者
年の途中で退職し、年末調整を受けていない場合、源泉徴収された所得税が還付される可能性があります。
確定申告の期限と注意点
申告期限
– 所得税の確定申告:翌年2月16日~3月15日
– 還付申告:翌年1月1日から5年間
申告を怠った場合のペナルティ
無申告加算税
– 税務署からの調査の事前通知後や調査後であれば納付する税額に対して10%~30%(納付すべき税額によって変動します)
– 税務署の調査を受ける前に自主的に申告した場合は5%
確定申告の準備
必要書類の準備
共通して必要な書類
– 確定申告書
– 所得を証明する書類(源泉徴収票、支払調書など)
– 各種控除証明書
事業所得者が追加で必要な書類
– 帳簿書類(青色申告の場合)
– 領収書・請求書
– 青色申告決算書または収支内訳書
申告方法の選択
税務署での申告
直接税務署に出向いて申告書を提出する方法です。
郵送による申告
申告書を郵送で提出する方法です。消印有効となります。
e-Tax(電子申告)
インターネットを利用して申告する方法で、24時間利用可能です。
まとめ
確定申告は、法律で定められた義務である場合と、税金の還付を受けるために有利な場合があります。
特に給与所得者の方でも、副業収入や医療費控除、住宅ローン控除などがある場合は、確定申告をすることで税金が戻ってくる可能性があります。
申告漏れや期限後申告には重いペナルティが課される場合がありますので、自分が確定申告の対象者かどうか不明な場合は、早めに税理士などの専門家にご相談されることをお勧めします。
また、確定申告の準備は早めに始めて、必要書類を整理しておくことが大切です。
適切な確定申告により、正しい税額の納付と、可能な限りの節税効果を得られるよう、しっかりと準備を進めましょう。
