コラム
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2025.09.18

 ふるさと納税のポイント禁止について

はじめに

ふるさと納税制度は、地方自治体への寄付を通じて税額控除を受けられる魅力的な制度として多くの方に利用されています。

しかし、2025年10月から「ポイント禁止」という新たなルールが導入されたことをご存知でしょうか。

本コラムでは、ふるさと納税制度について再度確認し、このポイント禁止の詳細について解説いたします。

ふるさと納税制度について

ふるさと納税は、自分の生まれ故郷や応援したい自治体に寄附を行うことで、所得税や住民税の控除を受けられる税制優遇制度です。

2008年に創設されて以来、地方創生の重要な施策として多くの国民に利用されています。

 ふるさと納税の仕組み

ふるさと納税は、個人が都道府県・市区町村に対して行った寄附金のうち、2,000円を超える部分について所得税の還付と住民税の控除を受けられる制度です。

控除上限額は年収や家族構成によって決まり、実質的な自己負担額は2,000円のみとなります。

寄附を行った翌年の3月15日までに確定申告を行うか、ワンストップ特例制度を利用することで税額控除を受けることができます。

ワンストップ特例制度は、確定申告が不要な給与所得者等が5団体以下の自治体に寄附を行った場合に利用でき、各自治体に申請書を提出するだけで控除が適用されます。

 控除額の計算方法

控除上限額の目安は、住民税所得割額の約2割程度とされています。

具体的な計算式は複雑ですが、総務省のポータルサイトや各自治体のホームページで簡易計算ツールが提供されており、年収と家族構成を入力することで概算額を知ることができます。

例えば、年収500万円の独身の方の場合、控除上限額の目安は約6万1,000円となり、この金額内であれば実質2,000円の負担で寄附を行うことができます。

 返礼品制度

ふるさと納税の大きな特徴の一つが返礼品制度です。

寄附を行った自治体から、地域の特産品や体験型サービスなどの返礼品を受け取ることができます。

返礼品は地域の魅力を全国に発信する重要な役割を果たしており、農産品、海産品、工芸品、体験チケットなど多岐にわたります。

総務省は返礼品について、寄附額の3割以下の価格で地場産品に限定するというルールを設けており、これにより制度の健全な運営と地域経済の活性化の両立を図っています。

ポイント禁止とは何か

 今回の制度変更の背景

ふるさと納税制度では、これまで仲介サイトが独自にポイント制度を設けることが可能でした。

例えば、寄付額に応じて独自のポイントを付与し、そのポイントを他の物品の購入にあてるシステムや、次回の寄付時にポイントを利用できる仕組みなどが存在していました。

しかし、総務省は2025年10月1日から、このようなポイント制度を禁止する方針を打ち出しました。

この背景には、ポイント制度により事業者間での競争が激しくなっており、これを是正する目的があります。

また競争が加熱した結果、本来の制度の趣旨である地域応援を損なうと総務省が判断したためです。

 禁止される具体的なポイント制度

禁止対象となるのはふるさと納税の仲介サイトのポイント制度です

寄付金をクレジットカードで決済した場合のクレジットカードのポイントについては禁止の対象外です。

 制度変更が与える影響

 寄付者への影響

経済的メリットの変化

従来、ポイント制度を活用していた寄付者にとって、実質的な負担軽減効果が失われることになります。

例えば、10万円の寄付に対して5,000ポイントが付与されていた場合、実質的な自己負担額は減少していました。

しかし、制度変更後はこのようなメリットが享受できなくなります。

寄付先選択の基準変更

これまでポイント制度の充実度を基準に寄付先を選んでいた方は、選択基準を見直す必要があります。

返礼品の内容や質、自治体の取り組みそのものに焦点を当てた選択が求められるようになります。

今後について

今年ふるさと納税を少しでもお得にされたい場合は、9月30日までに仲介サイトを通じて寄付することをおすすめします。

仲介サイトによって9月末に申込完了/決済完了/寄付受付などポイントがつく基準が異なるためご自身の利用されているサイトをご確認下さい。

 今後の対応策とアドバイス

 寄付者としての対応策

計画的な寄付の実施

年間の寄付限度額を意識した計画的な寄付を行うことで、制度変更の影響を最小限に抑えることができます。

控除上限額の計算を正確に行い、効率的な寄付を心がけましょう。

 自治体の対応動向

透明性の向上

寄付金の使途をより明確に示し、寄付者との関係性を深める取り組みが増加しています。定期的な報告書の発行や、事業の進捗状況の公開などが行われています。

まとめ

ふるさと納税においては創設以来還元率の規制や返戻品を限定するなどさまざまな改正を繰り返してきました。

今回のポイント禁止も、制度をより本来の趣旨に沿ったものにするための変更です。

今後も改正が行われる可能性がありますので、その動向に注意しましょう。

ポイントが禁止されてもふるさと納税の仕組みそのものは変わりませんので、ご自身の収入に応じて適切な寄付を行っていただければと思います。

また、税務上の取り扱いについてご不明な点がございましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。

 

 

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