はじめに
医療機関や薬局にとって、審査支払機関からの情報提供方法が大きく変化しつつあります。
従来、紙で送付されていた各種帳票が、オンライン配信へと移行する動きが加速しています。
支払関係帳票が2024年5月からは、紙での送付に加え、オンライン請求システムからも入手できるようになっていました。
2024年10月送付分からは、オンライン請求システムを用いて医療保険事務を行っている場合には、審査支払機関からの支払関係帳票の送付方法が、オンライン配信のみとなっています。
今回はオンライン配信の対象となる帳票等についてお話したいと思います。
オンライン配信とは?
オンライン配信とは、審査支払機関から、当座口振込通知書、診療(調剤)報酬等支払額決定通知書、増減点関連の通知書などの各種帳票を、紙ではなく、インターネットを通じて医療機関や薬局に電子データとして提供する仕組みです。
オンライン配信のメリットとは?
ペーパーレス化によるコスト削減:紙の帳票作成や郵送にかかる費用が削減できます。
情報伝達の迅速化:リアルタイムに近い形で情報を入手できるため、事務処理の効率化が期待できます。
データ保存・管理の効率化:電子データとして保存されるため、紙の書類のように紛失したり、破損したりするリスクが低減します。
個人情報保護:オンライン配信を行うことにより返戻送付物の誤送等による個人情報漏洩の減少に寄与します。
このような点からオンライン配信が促進されてきました。
オンライン配信される支払関係帳票とは
オンライン請求システムを用いて医療保険事務を行っている場合に、紙送付が廃止された帳票は以下となります。
対象帳票
・返戻レセプト
・返戻内訳書
・増減点連絡書
・増減点返戻通知書
・資格確認結果連絡書
・診療(調剤)報酬等支払額決定通知書
・当座口振込通知書
・電子証明書発行料等領収書
・報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
具体的な帳票書類は審査支払機関のサイトでご確認ください。
ダウンロード期間
上記の支払関係帳票についてオンライン配信=電子データのみとなりましたが、それぞれのデータにはダウンロード期間が設けられているためご注意下さい。
増減点連絡書や返戻内訳書、資格確認結果などは過去12カ月分ダウンロード可能なのに対し、
「当座口振込通知書」や「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」また「返戻レセプト」などは3カ月間しか期間が設けられていません。
「当座口振込通知書」や「報酬、料金。契約金及び賞金の支払調書」などは会計処理や税務申告上必ず必要となる書類ですので、ダウンロード期間内に忘れずに処理する必要があります。
当座口振込通知書は毎月支払日の翌日に配信されますので、保険医療機関等は定期的にデータのダウンロードを行って下さい。
また、ダウンロードしたファイルは電子帳簿保存法での「電子データ」に該当するため、電子帳簿保存法に即し、紙での保存ではなく、「電磁的記録を保存」することが必要となります。
こちらもあわせてご確認下さい。
税務上必要な書類について
国民健康保険団体連合会から送付される年間合計分の診療報酬等支払通知書についても、データ提供のみとなり、紙での送付は行われません。
個人事業の場合は毎年2月頃に社会保険診療報酬支払基金から届く支払調書で年間の源泉徴収税額が確定します。
こちらもデータ提供のみで、紙の送付は行われません。
措置法26条を適用される場合は特にご注意下さい
これらのデータはメール等で自動的に送付されるのではなく、オンライン請求システムにログインして入手しなければなりませんのでダウンロード期間にご注意いただき、定期的なログインとダウンロード・保存をお願いします。
まとめ
2024年4月1日以降オンライン請求が基本的な請求方法となり、それまでの光ディスクや紙レセプト請求の新規適用が廃止されました。
10月からは請求のみでなく、支払関係帳票も完全オンライン化されました。
これからもどんどんと業務効率化、コスト削減などを目的として、医療機関におけるIT化がすすんでいくものと思われます。
電子データの取り扱いなどセキュリティ対策をしっかりして、これらの変化に対応していきましょう。