コラム
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2024.12.12

相続登記の義務化と相続人申告登記の申し出について

はじめに

2024年4月1日から、相続登記が義務化されました。

この制度の導入により、相続が発生した場合、相続人は一定期間内に相続登記の手続きを行うことが法律で義務付けられることとなりました。

具体的には不動産を取得した相続人は、その相続による取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければいけません。

未分割であっても相続登記義務化の対象であるため、今回は、相続登記の義務化と、それに伴い創設された相続人申告登記制度について、解説いたします。

相続登記の義務化の背景と目的

これまで、相続登記は必ずしも義務ではなく、相続人全員の同意が得られた場合にのみ行われることが一般的でした。

しかし、この制度には、以下のような問題点が指摘されていました。

相続登記がされないことによる弊害: 相続登記がされないまま長期間が経過すると、不動産の所有者が不明確になり、売買や贈与などの不動産取引が円滑に行えなくなる可能性があります。

また、固定資産税の評価額が適正に行われず、税収の漏洩につながる恐れもあります。

相続人不明による社会問題: 相続人が不明なまま放置されると、相続財産の管理が困難になり、放置された不動産が荒れるなど、社会問題に発展するケースも少なくありません。

このような問題点を解消するため、相続登記の義務化が決定されました。

この制度の目的は、相続登記を円滑に進め、不動産の所有権の明確化を図り、社会全体の安定に貢献することです。

相続登記の義務化と相続人申告登記制度

相続登記の義務化に伴い、新たに創設されたのが「相続人申告登記制度」です。

この制度は、相続登記の手続きが遅れる場合に、相続人自身が相続人である旨を法務局に申し出ることで、一定期間の猶予を得ることができる制度です。

相続人申告登記制度のメリット

相続登記の猶予: 遺産分割協議がまとまらないなど、相続登記の手続きが遅れる場合、

相続人申告登記を行うことで、一定期間の猶予を得ることができます。

過料の免除: 相続登記の義務化に伴い、期限内に相続登記を行わない場合、10万円以下

の過料が科される可能性があります。

しかし、相続人申告登記を行うことで、この過料を免れることができます。

 ・相続人情報の登記: 相続人申告登記を行うことで、相続人の氏名や住所などが登記簿に記載されます。

 これにより、相続人の所在が明確になり、今後の手続きが円滑に進みやすくなります。

相続人申告登記制度の注意点

持分は登記されない: 相続人申告登記では、相続人の持分は登記されません。

・相続登記は必要: 相続人申告登記は、相続登記を猶予するための制度であり、相続登記を不要にするものではありません。

相続人申告登記の申し出をした者はその後に遺産分割により所有権を取得した場合、遺産分割成立から3年以内に分割内容を踏まえた相続登記の申請をしなければなりません。

期限内に行う必要がある: 相続人申告登記も相続登記の申請期限内(3年以内)に手続きをしなければなりません。

申告登記の申し出は相続人ごとに行う:相続人が複数の場合も申告登記の申し出は特定の相続人単独ですることができます。

この場合、申し出をした者のみ登記の申請義務を履行したものとみなされます。

また、他の相続人の分も含めた代理申し出をすることも可能です。

代理申し出をした場合は、他の相続人も相続登記の申請義務を履行したものとみなされます。

相続登記の手続きと注意点

相続登記の手続きは、以下の流れで行われます。

1.相続発生の確認: 相続が発生したことを確認し、相続人全員の範囲を確定します。

2.遺産分割協議: 相続人全員で集まり、遺産の分割方法について協議し、遺産分割協議書を作成します。

3.登記申請: 遺産分割協議書などを添付して、法務局に登記申請を行います。

まとめ

相続登記の義務化は、不動産の所有権の明確化を図り、社会全体の安定に貢献することを目的としています。

未分割のまま申請期限が到来しそうな場合には法定相続分による相続登記の申請をするか、

遺産分割争いにより相続人が共同で手続きをすることが困難な場合は、相続人申告登記制度を活用して相続登記の申請義務を果たすようにしましょう。

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