2025年1月から、税務署での申告書への収受印が廃止されることが決定しました。
2024年の確定申告書の提出日は2025年2月16 日から3月15日までですので、この申告書には収受印が押印されません。
そこで今回は収受印廃止による影響と対応についてお話したいと思います。
なぜ収受印が廃止されるのか?
収受印廃止の背景には、行政手続きのデジタル化が進み、ペーパーレス化が求められているということがあります。
収受印の押印は、人手と時間を要する作業であり、デジタル化による効率化の妨げとなっていました。
国税庁から公表された「令和5年度におけるオンライン(e-Tax)手続の利用状況等について」によれば、オンライン利用率として法人申告は86.2%、消費税申告(法人)は88.7%と法人についてはe-Taxの利用は8割を超えています。
また、個人の申告に関しても、所得税申告は69.3%、消費税申告(個人)は73.5%とこちらも利用率が高い傾向にあります。
今後も行政手続きのデジタル化がますます進むことを見越して収受印は廃止されることとなりました。
収受印廃止に伴う納税者の対応
収受印が廃止された後、納税者はどのように申告書提出の事実を証明し、保管すればよいのでしょうか。
主な対策は以下の通りです。
1. e-Taxの利用を検討する
e-Taxは、インターネットを通じて税務申告を行うことができるシステムです。
e-Taxを利用すれば、申告書の提出履歴が電子的に保存されるため、収受印がなくても申告書の提出事実を証明することができます。
また、e-Taxの利用により、入力ミスを減らし、申告処理を迅速化することができます。
2. 申告書のコピーを保管する
申告書のコピーを、提出した日付などを明記して保管しておくことも有効です。
万が一、申告内容について税務署から問い合わせがあった場合に、コピーを提示することで、申告書の提出事実を証明することができます。
3. 税務署発行のリーフレットを活用する
税務署では、収受印廃止に伴い、当面の間申告書を提出した事実を確認する方法などを記載した以下のようなリーフレットが配布されます。
※窓口での提出でも郵送提出の場合でも希望すれば交付されます。
このリーフレットには、申告書提出日や税務署の受付印などが記載されており、申告書の提出事実を証明する一つの資料となります。
このリーフレットの交付を郵送で希望する場合は、返信用封筒を提出する申告書等に同封して送付すれば交付されます。
※国税庁HPより
4.申告書等情報取得サービスを利用する
所得税の確定申告書については書面により提出している場合でもe-TaxソフトにログインすることでPDFファイルを取得できるサービスがあります。
令和2年分以降直近3年分の以下に示す申告書等を取得できます。
①所得税及び復興特別所得税確定(修正)申告書
②青色申告決算書
③収支内訳書
※このサービスの利用にあたってはマイナンバーカードが必要となります。
5. 申告書等の閲覧サービスを利用する
税務署には、申告済みの申告書等を閲覧できるサービスがあります。
このサービスを利用することで、自身の申告書の内容を確認することができます。
ただし、閲覧できるのは申告書の内容のみであり、提出日などの情報は確認できない場合があります。
6. 書留郵便で郵送する
申告書を税務署に郵送する場合は、書留郵便を利用することで、発送記録が残ります。
この発送記録は、申告書の提出事実を証明する一つの資料となります。
金融機関などへの提出について
金融機関からの借入や補助金・助成金の申請などに収受印の押なつされた申告書等の控えの提出をもとめられることから、収受印が廃止される影響を心配される方もいらっしゃるかと思います。
しかし、国税庁は金融機関や補助金・助成金などを担当する行政機関などに対しても2025年1月以降は各種の事務において収受日付印の押なつされた申告書等の控えを求めないことを徹底するよう働きかけをしています。
そのため今後は収受日付印の押なつされた控えを求められることはなくなっていくと思います。
まとめ
従来の申告書提出方法に慣れている人にとっては、収受印廃止は影響が大きく、戸惑うこともあるかもしれません。
しかしこれを機に個人の申告についてもe-Taxの利用を検討してみてはいかがでしょうか。