はじめに
2024年もあと1カ月と少しとなりました。
今回は、すぐにできる節税として個人の方々がたくさん利用されている「ふるさと納税」について、解説します。
ふるさと納税は、税金の一部を好きな自治体に寄付することで、その地域の活性化に貢献できるだけでなく、節税効果も期待できる制度です。
本コラムでは、ふるさと納税の仕組み、メリット、注意点についてお伝えします。
ふるさと納税とは?
ふるさと納税とは、自分が住んでいる自治体以外の市区町村に寄付をする制度です。
寄付額に応じて、所得税と住民税から一定額が控除されるため、実質的な負担は少なくなります。
さらに、多くの自治体では、寄付の感謝として、地元の名産品などの「お礼の品」が贈られます。
ふるさと納税のメリット
1. 節税効果
ふるさと納税の最大のメリットは、節税効果です。
寄付した金額に応じて、所得税と住民税が控除されるため、実質的な負担は2,000円程度になります。
確定申告を行う場合の控除額は以下の通りです。
①所得税控除=(ふるさと納税額―2,000円)×所得税率
②住民税控除(基本分)=(ふるさと納税額―2,000円)×10%
③住民税控除(特別分)=(ふるさと納税額―2,000円)×(100%‐10%(基本分)-所得税の税率)
これを図解すると以下の通りです。
※総務省HPより
2. 地域貢献
寄付したお金は、寄付先の自治体の地域振興や防災対策など、様々な分野に活用されます。自分が応援したい地域を指定して寄付することで、地域貢献に直接的に参加することができます。
3. お礼の品
多くの自治体では、寄付額に応じて、地元の名産品や特産品が贈られます。
美味しい食べ物をはじめ、工芸品や旅行券など、様々な品物が用意されています。
4.ふるさと納税の手続き
ふるさと納税の手続きは、インターネットを通じて簡単にできます。
各サイトで、欲しい返礼品や寄付したい金額を選んで手続きを進めるだけです。
ふるさと納税の注意点
1. 控除上限額
ふるさと納税で控除できる金額には上限があります。
自分の収入や家族構成によって控除上限額が異なるため、事前に確認することが大切です。
総務省のHPや各ふるさと納税サイトなどで上限額の計算方法が記載されていますので参考にしてみて下さい。
2. ワンストップ特例制度
確定申告が不要となるワンストップ特例制度を利用することで、手続きが簡略化されます。ただし、以下の一定の条件を満たす場合に限り利用できる制度です。
・ふるさと納税以外の確定申告が不要な給与所得者の方
・医療費控除や初年度の住宅ローン控除などを受ける必要がない方
・1年間(1月~12月)のふるさと納税の寄付先が5自治体以内である方
・寄付した翌年の1月10日までに寄付先の各自治体へ必要書類を郵送(またはオンライン申請)した方
ワンストップ制度を利用すると税金の控除は全額住民税から控除されます。
3.返戻金に関する申告について
ふるさと納税で受け取った返戻品は、原則として所得税の課税対象となる「一時所得」に該当します。
一時所得には以下のようなものがあります。このうち④がふるさと納税の返戻品にあたります。
①懸賞や福引の賞金品
②競馬や競輪の払戻金
③生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金等
④法人から贈与された金品
⑤遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等
⑥資産の移転等の費用に充てるため受けた交付金のうち、その交付の目的とされた支出に充てられなかったもの
総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円)=一時所得
※実際課税されるのは一時所得として計算された金額の1/2となります。
一時所得に該当するものがふるさと納税の返戻品だけという方はふるさと納税額に30%※をかけた金額が50万円以下になるかを確認してください。
※ふるさと納税の返戻品は現在寄付額の30%を超えないこととされています。
ふるさと納税の返戻品を受けとった年に①~⑥にあたる他の収入がある場合には、申告が必要となる場合がありますのでご注意下さい。
③にあたる生命保険の解約や損害保険の満期返戻金などは特によくありますので、上記の式に当てはめてプラスとなるようでしたら確定申告を忘れないようにお気をつけください
まとめ
ふるさと納税は、節税効果と地域貢献を両立できる魅力的な制度です。
まだ今年のふるさと納税は間に合いますので、上記注意点などを理解した上でふるさと納税を始められてはいかがでしょうか。