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2024.11.14

インボイス制度移行に伴う2割特例の確定申告における注意点

これまで個人事業主で消費税の免税業者だった方で、2024年から新たにインボイス登録をして、今年初めて消費税の確定申告をするという方もいらっしゃることと思います。

そこで今回は、初めてインボイス発行事業者として消費税の課税事業者になり確定申告を行う方の注意ポイントをまとめました。

はじめに

2023年10月1日からスタートしたインボイス制度は、事業者の間で大きな話題となりました。

特に、免税事業者からインボイス発行事業者(課税事業者)に移行された事業者にとっては、新たな制度への対応に加え、2割特例という税制上の優遇措置の存在が大きな関心事となっています。

以下では、主にインボイス制度移行に伴う2割特例について、確定申告における注意点を中心に詳しく解説します。

割特例とは?

2割特例とは、インボイス制度開始に伴い、免税事業者からインボイス発行事業者に移行した中小企業者に対して、一定期間、仕入控除税額の計算において優遇措置が適用される制度です。

具体的には、仕入税額控除の金額を、課税標準である金額の合計額に対する消費税額の80%に相当する金額とする制度です。

2割特例により計算する場合の概算納税額は次の算式で計算できます。

売上収入※1×10/110 ※2×2割=納税額

※1 年の途中でインボイス発行事業者となった場合は、インボイス発行業者となった後の売上金額となります。

※2 軽減税率が適用される飲食料品等の売り上げがある場合は8/108となります。

この制度の目的は、インボイス制度への移行に伴う中小企業者の負担を軽減し、円滑な移行を促すことにあります。

割特例の適用要件

2割特例を適用するためには、以下の要件を満たす必要があります。

・インボイス発行事業者への移行: 免税事業者からインボイス発行事業者(課税事業者)に移行していること。

・中小企業者: 基準期間の課税売上高が1,000万円以下であること。

・適用期間: 令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する課税期間

※個人事業者の場合は令和8年分の申告まで適用することができます。

確定申告における注意点

2割特例を適用する際には、確定申告において以下の点に注意する必要があります。

1. 割特例の適用を受ける旨の記載

2割特例を適用するに当たって事前の届出は必要ありません。

確定申告書に、2割特例の適用を受ける旨を明記することで適用を受けることができます。

以下参照下さい。

国税庁HPより

2. 2年継続要件なし

継続して2割特例を適用しなければいけないといった制限はありません。

課税期間ごとに判断することができます。

3. 簡易課税の届出書提出済でも適用あり

簡易課税制度の適用を受けるための届出書を提出していても、申告の際に2割特例を適用することが可能です。 

4.修正申告等で選択替えは不可

2割特例を適用し(または適用せずに)、消費税の申告を行った場合には、その後、その申告について修正申告や更正の請求により2割特例を適用しないこととする(または適用する)ことはできません。

5.基準期間の売り上げが1000万円超は適用なし

個人事業者の場合、前々年の課税売上高が1000万円を超えると適用できません。

6. その他

適用除外

次の場合は2割特例の対象外となります。

消費税課税期間特例選択届出書の提出により、課税期間を1カ月または3カ月に短縮している事業者

・簡易課税制度との関係

2割特例は簡易課税との有利選択も自由に行うことができます。

したがって簡易課税を選択していた場合でも簡易課税の選択不適用届出書を提出する必要はありません。

みなし仕入率のみで比較すると第3種、第4種、第5種の場合は2割特例が有利となります。

まとめ

インボイス制度移行に伴う2割特例は、中小企業者にとって大きなメリットとなる制度です。

しかし、その一方で、確定申告において注意すべき点も多いため、しっかりと制度の内容を理解し、適切な対応を行う必要があります。

 

 

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