コラム
column
2024.10.10

倒産防止共済の解約について改正があります!

令和6年10月から中小企業倒産防止共済の解約に関して改正が行われました。

そこで今回は中小企業倒産防止共済(以下倒産防止共済)の仕組みやメリット・デメリット、また今回行われた改正の内容について解説したいと思います。

 はじめに

倒産防止共済は経営セーフィティ共済とも呼ばれ、中小企業の経営安定化を支援するための重要な制度です。

この制度は、中小企業が取引先の倒産に伴う二次被害を受けた際、迅速に資金を調達できるよう支援するもので、社会全体の経済安定にも貢献しています。

 基本的な仕組み

・倒産防止共済は、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する制度で、中小企業や個人事業主が加入対象となります。(業種によって常時使用する従業員数の要件が異なります)

※医療法人は加入できませんが、個人の開業医は1年以上事業を継続していれば加入できます。

・この制度に加入することで、取引先が倒産した場合に無担保・無保証人で掛金の最高10倍(上限8,000万円)までの借入ができる点が特徴です。

・掛金は月額5,000円から20万円までの範囲で設定することができ、増額・減額も可能です。

・掛金総額が800万円に達すると、掛金の納付が不要になります。

・掛金は全額損金算入できるため、資金的な負担を軽減しつつ、税制上のメリットを享受することができます。

・任意解約をする場合でも40カ月加入後であれば、100%の解約手当金が受け取れます。

・取引先が倒産していなくても臨時に事業資金を必要とする場合は、解約手当金の95%を上限として借入をすることもできます。

メリット

・資金繰りの安定化  

倒産防止共済の最大の利点は、取引先の倒産によって発生する資金繰りの悪化を迅速にカバーできることです。

これは特に、単一または少数の取引先に依存している中小企業にとって、生命線となる制度です。

・税務上の優遇  

前述の通り、掛金は全額が損金算入可能です。

これにより、税負担を軽減しつつ積立を行うことができ、キャッシュフローの改善にも寄与します。

・安心感と信用力の向上  

取引先の倒産という不測の事態が発生しても、すぐに資金を調達できる安心感は、経営者の精神的な負担を大きく軽減します。

また、共済に加入していること自体が企業のリスク管理能力を示すため、信用力の向上にも繋がります。

デメリット

・掛金の負担  

制度利用には毎月の掛金が必要ですが、これが中小企業にとっては少なからぬ負担になる場合があります。

特に経営環境が不安定な時期には、掛金の捻出が難しいことも考えられます。

・融資という形の返済義務  

倒産防止共済で受ける資金は借入であり、後に必ず返済義務が発生します。

このため、資金繰りがさらに悪化するリスクもゼロではありません。

事前に返済計画を立て、無理のない範囲での利用が求められます。

解約に関する改正

2024年10月1日以降に解約した倒産防止共済については、解約の日から2年を経過する日までの間に支出する掛金は損金算入できないこととなりました。

改正以前は役員退職金や大規模修繕などの大型の経費を計上するタイミングで解約して解約手当金と相殺し、その後すぐに再加入することでさらに掛金と解約手当金を相殺するという方法が用いられることがありました。

この部分が中小企業庁に本来の制度の目的と異なり不適切であると指摘され改正が行われました。

倒産防止共済の効果的な活用法

経営者が倒産防止共済を効果的に活用するためには、まず自社の取引先の状況や依存度を把握することが重要です。

仮に特定の取引先に過度に依存している場合、その取引先の経営状態の変化に敏感になりリスクヘッジを講じることが必要です。

また、共済の掛金額は慎重に設定するべきです。

自社の資金繰りに過度な負担をかけない範囲で最大限の積立を行うことで、万が一の事態に備えることができます。

結論

解約による見直しが行われたことにより、解約の時期や再加入の時期などをより慎重に検討しなければいけなくなりました。

しかし、倒産防止共済は、経営者にとって頼もしい制度であり、適切に活用することで企業の経営リスクを大幅に軽減することができます。

制度の特性を十分に理解し、自社の経営状況にあわせて適切に活用することが大切です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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