9月17日に2024年の基準地価が発表されました。
住宅地、商業地などを含む全用途の全国平均が3年連続で上昇し、前年との比較では1.4%の上昇となりました。
また、上昇幅は前年より0.4ポイント拡大し、1991年以来33年ぶりの大きさとなりました。
都市圏別では、東京、大阪、名古屋の3大都市圏の全用途が4年連続で上昇し、前年との比較では3.9%の上昇となりました。
その他地方圏においても全用途で2年連続で上昇しました。
商業地の全国トップは東京都中央区銀座2丁目の「明治座銀座ビル」で1平方メートルあたり4210万円でした。
兵庫県での地価トップは神戸市中央区三宮町1-7-5「Style Plaza」で1平方メートルあたり700万円でした。
今回公表された基準地価と7月に公表された路線価と何が違うのかと疑問に思われる方もおられると思います。
そこで今回は土地の価格についてお話したいと思います。。
土地の価格は一物五価といわれるように、土地という一つの物に対して価格を表すものが5つあります。
公示地価、基準地価、路線価、固定資産税評価額、実勢価格の5つです。
これらそれぞれの特徴と違いについてみていきましょう。
1.公示地価とは
国土交通省土地鑑定委員会が毎年3月に公示する標準地の価格をいいます。
地価公示法に基づいて、不動産鑑定士が1月1日時点の1㎡あたりの正常な価格を判定します。
対象地点は全国約2万6000地点となっています。
【目的と活用】
一般の土地取引の指標として活用されます。
公共事業用地の取得価格算定の基準や不動産鑑定の基準さらには相続税評価や固定資産税評価の基準としても活用されます。
また銀行や不動産会社が融資や投資を行う際に土地の価値を評価する基準とするなど幅広く利用されています。
【特徴】
土地を更地として評価し、建物の価値などは考慮しません。
土地利用制限がある場合はそれがないものとして評価します。
主に都市計画区域内を評価対象としています。
2 基準地価とは
都道府県が毎年9月に公表する標準価格をいいます。
国土利用計画法施行令に基づいて不動産鑑定士が7月1日時点の1㎡あたりの正常な価格を判定します。
対象地点は全国約2万点となっています。
【目的と活用】
一般の土地取引や地方公共団体、民間企業の土地取引の目安として活用されています。
また銀行や不動産会社が融資や投資を行う際に土地の価値を評価する基準としても活用されます。
【特徴】
土地を更地として評価し、建物の価値などは考慮しません。
土地利用制限がある場合はそれがないものとして評価します。
都市計画区域外も評価対象となります。
目的や特徴は公示地価と似ているのですが、7月1日を基準としていることから公示地価の補完的役割を担っています。二つを合わせて参照することでより詳細な地価動向を把握することができます。
3.路線価とは
国税庁が毎年7月に公表する価格をいいます。
毎年1月1日時点を基準に公示地価や売買実例、不動産鑑定士などによる鑑定評価額を基に決定されます。
【目的と活用】
相続税の評価額を算出するときに使用します。
相続対策の検討をする際に役立ちます。
【特徴】
公示地価や基準地価と比べて調査地点数が多い(約33万6000地点)
個別の土地ごとではなく、道路ごとに1㎡当たりの価格が定められています。
公示地価の約8割程度の価格で設定されるため公示地価がわからない場所のおおよその価格を知ることも可能です。
4.固定資産税評価額とは
市町村が固定資産評価基準に基づいて評価します。
市町村が1月1日を基準に算定し4月~6月ごろに通知されます。
【目的と活用】
固定資産税や都市計画税、不動産取得税や登録免許税などの税金を計算する基準として使用されます
公示地価の70%となることを利用して自身が保有する不動産の概算の価値を知る目安としても活用できます。
【特徴】
他の指標とは異なり評価額の見直しは3年ごとです。
5.実勢価格とは
これは実際に土地が売買される際に売主と買主の間で合意した価格をいいます。
売主の事情や周辺環境など様々な要素で決まるため、明確な金額の目安はありません。
【目的と活用】
不動産取引に活用される。
【特徴】
市場の状況によって変動する。
リアルタイムで更新される。
公示地価の1.1~1.2倍となることが多い
まとめ
これら価格の違いを理解することは不動産投資や売買、相続などの面で重要です。
それぞれの価格の意味や算出方法を知ることで、不動産の適切な評価や税金の計算、取引などに活用できます。