今年も後半にさしかかり、ふるさと納税を検討されている方も多いことと思います。
今年は定額減税があり、ふるさと納税の上限額に影響があるのではと考えられる方もいらっしゃることと思います。
そこで今回はふるさと納税の仕組みと定額減税が実施されたことによる影響についてお話したいと思います。
1. ふるさと納税とは
1.1 ふるさと納税の仕組み
ふるさと納税は、納税者が自分の選んだ地方自治体に寄付をすることで、その寄付金の一部が所得税や住民税から控除される制度です。
寄付をした際には、自治体から特産品やお礼の品が贈られることが多く、これが大きな魅力となっています。
1.2 ふるさと納税の手続き
ふるさと納税を利用するには、まずインターネットを通じて希望する自治体と寄付額を選びます。
寄付を行った後、自治体から送られてくる寄付証明書を確定申告の際に提出することで、税額控除が適用されます。
また、一定の条件を満たすことで「ワンストップ特例制度」を利用し、確定申告を不要にすることも可能です。
1.3 ふるさと納税の控除額
ふるさと納税に係る控除額の計算の概要は、次のとおりです。
① 所得税
(ふるさと納税額 - 2,000円)を所得控除(寄附金控除)
(所得控除額 × 所得税率(0%から45%が軽減(注)))
所得控除の対象となる寄附金の額は、総所得金額等の40%が上限です。
② 個人住民税(基本分)
(ふるさと納税額 - 2,000円) × 10%を税額控除
③ 個人住民税(特例分)
(ふるさと納税額 - 2,000円)× (100% - 10%(基本分)- 所得税率(0%から45%(注)))
上記①および②により控除できなかった額を、③により全額控除(所得割額の20%を限度)します。
(注) 平成25年分から令和19年分については、所得税率が0%である場合を除き、復興特別所得税を加算した率となります。
出典:国税庁タックスアンサーNo1155
ふるさと納税の年間上限の目安は以下の通りです。
※掲載している表は、住宅ローン控除や医療費控除等、他の控除を受けていない給与所得者のケースとなります。年金収入のみの方や事業者の方、住宅ローン控除や医療費控除等、他の控除を受けている給与所得者の方の控除額上限は表とは異なりますのでご注意ください。
※社会保険料控除額について、給与収入の15%と仮定しています。
ふるさと納税を行う方本人の給与収入 |
ふるさと納税を行う方の家族構成 |
||||||
独身又は共働き※1 |
夫婦※2 |
共働き+子1人(高校生※3) |
共働き+子1人(大学生※3) |
夫婦+子1人(高校生) |
共働き+子2人(大学生と高校生) |
夫婦+子2人(大学生と高校生) |
|
500万円 |
52,000 |
41,000 |
41,000 |
37,000 |
33,000 |
28,000 |
20,000 |
600万円 |
69,000 |
60,000 |
60,000 |
57,000 |
48,000 |
44,000 |
35,000 |
700万円 |
97,000 |
77,000 |
77,000 |
74,000 |
68,000 |
65,000 |
53,000 |
800万円 |
118,000 |
109,000 |
109,000 |
106,000 |
87,000 |
84,000 |
76,000 |
900万円 |
140,000 |
131,000 |
131,000 |
127,000 |
121,000 |
118,000 |
108,000 |
1000万円 |
166,000 |
157,000 |
154,000 |
150,000 |
144,000 |
141,000 |
131,000 |
※1「共働き」は、ふるさと納税を行う方本人が配偶者(特別)控除の適用を受けていない ケースを指します。(配偶者の給与収入が201万円超の場合)
※2「夫婦」は、ふるさと納税を行う方の配偶者に収入がないケースを指します。
※3「高校生」は「16歳から18歳の扶養親族」を、「大学生」は「19歳から22歳の特定扶養親族」を指します。
※4中学生以下の子供は(控除額に影響がないため)、計算に入れる必要はありません。
例えば、「夫婦子1人(小学生)」は、「夫婦」と同額になります。
また、「夫婦子2人(高校生と中学生)」は、「夫婦子1人(高校生)」と同額になります。
出典:総務省HP
2.定額減税によるふるさと納税への影響
2.1 令和6年度分の住民税に関するふるさと納税(令和5年に行ったふるさと納税)の上限額
・1人当たり4万円の定額減税(所得税3万円、住民税1万円)が実施されたことによるふるさと納税への影響はありません。
その根拠として令和6年度の与党税制改正大綱に以下のように記載されています。
ふるさと納税の特例控除上限額(所得割額の2割)等について、定額減税「前」の所得割とする。
定額減税施行前の令和5年中に地方団体に対する寄付を行った方に不利益が生じないようにとの意図でこの措置がなされました。
令和5年に上限ギリギリまでふるさと納税をされた方についても、定額減税の実施によって上限額が減少することはありません。
2.2 令和7年度分の住民税に関するふるさと納税(令和6年に行ったふるさと納税)の上限額
ただし、ふるさと納税の上限額を定額減税「前」の住民税所得割の20%とする措置は令和6年度分の住民税に対する特例となります。
令和7年度分の上限額に対しては現時点でこのような特例はありません。
ほとんどの方は定額減税の対象は「令和6年度分の住民税」なので令和7年度分は関係ありません。
一部、控除対象配偶者以外の同一生計配偶者(本人の所得が1000万円超で、配偶者の合計所得が48万円以下の者)がある場合には、令和7年度分の住民税から1万円が控除されるため、該当する方は上限額に影響します。ギリギリまで寄付を行う場合は注意が必要です。