7月1日に令和6年の路線価が発表されました。
毎年日本一路線価が高いと話題になる銀座5丁目の「鳩居堂前」の土地の路線価を見てみますと令和5年は4272万円/㎡であったのに対し、令和6年は4424万円/㎡と約3.5%上昇しています。
また兵庫県内では中央区三宮町1丁目の「三宮センター街」の路線価が一番高く、令和5年は500万円/㎡であったのに対し、令和6年は532万円/㎡と約6.4%上昇しています。
兵庫県内全体では令和5年に比べ平均1.2%の上昇となっています。
この機会にご自身所有の土地の路線価を一度確認してみてください。
そこで今回は路線価についてお話したいと思います。
第1章:路線価とは?
路線価とは、国税庁が毎年発表する土地の評価額の一つで、相続税や贈与税の課税対象となる土地の評価額を算出するために使われます。
一般的に、路線価は土地の形状や用途、周辺の状況などを考慮して決定されます。
都市部では道路に面した土地に対して設定され、道路ごとに1平方メートルあたりの価格が示されています。
路線価は全国の主要な道路に設定され、地価公示価格の80%程度を基準にしています。このため、市場価格とは異なることがあり、実際の取引価格とは乖離が生じることもあります。
しかし、税金を計算する際には路線価が基準となるため、非常に重要な指標です。
例えば、東京都内のある繁華街にある土地の路線価が1平方メートルあたり100万円だとします。
その土地が200平方メートルある場合、路線価による評価額は200万円×100万円=2億円となります。
この評価額を基にして相続税や贈与税が算出されるのです。
第2章:路線価の決め方とその影響
路線価はどのようにして決められるのでしょうか?国税庁は毎年、不動産鑑定士などの専門家による調査を基に路線価を設定します。
これには、土地の取引価格や公示地価、周辺の地価動向など多くの要素が考慮されます。
具体的には、各市町村の主要な道路に沿った土地の価格を調査し、これを基にしてその道路に面する土地全体の価格を設定します。
このため、同じ市町村内でも路線価は地域によって異なることがあります。
例えば、同じ東京都内でも、銀座と下町では路線価に大きな差があります。
路線価が上昇すると、相続税や贈与税の負担が増加します。
特に都市部の路線価が上昇すると、土地を所有する個人や企業にとっては大きな負担となることがあります。
逆に、路線価が下がると税負担が軽減されるため、土地の有効利用や資産の再評価が進むこともあります。
また、路線価は土地の価値を示す指標として、不動産投資や資産評価の際にも重要な役割を果たします。
不動産を購入する際や、企業が資産価値を評価する際には、路線価を参考にすることが一般的です。
第3章:路線価の活用方法
路線価は主に相続税や贈与税の計算に使われますが、公示価格よりも調査点数が多いため、他にもさまざまな場面で利用されます。
例えば、不動産の売買や賃貸契約の際には、路線価を基に価格を設定することがあります。
また、企業が所有する土地の評価や、金融機関が融資の担保として土地を評価する際にも、路線価が参考にされます。
さらに、路線価は市町村の土地利用計画や都市計画にも影響を与えます。
路線価が高い地域は商業施設や高層ビルが立ち並ぶことが多く、逆に路線価が低い地域は住宅地や農地が広がることが一般的です。
このため、自治体は路線価を参考にして土地の利用計画を策定し、地域の発展を図ることがあります。
第4章:路線価の今後の展望
近年、路線価は都市部を中心に上昇傾向にあります。
これは、人口の集中や経済活動の活発化、土地の供給不足などが原因とされています。
特に、東京、大阪、名古屋などの大都市圏では、路線価の上昇が顕著です。
今後もこの傾向が続くと予想される中、土地所有者や不動産投資家にとっては適切な対応が求められます。
例えば、路線価の上昇による税負担の増加に備えて、資産の見直しや税務対策を行うことが重要です。
また、不動産市場の動向を注視し、適切なタイミングでの売買を検討することも一つの方法です。
さらに、地方に目を向けると、人口減少や経済の停滞により路線価が下がる地域もあります。
このような地域では、土地の有効利用が課題となります。
結論
路線価は相続税や贈与税の計算に欠かせない重要な指標です。
しばらくは都市部では路線価が上昇し、地方では路線価が下がる傾向がつづくと思われます。
路線価の動向を把握し、適切な対応を行うことは、土地所有者や不動産投資家にとって重要です。